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iGEM に対する考え

最近、iGEMer と話す機会がありました。毎年この時期 (12 月頃) になると、次年度のプロジェクトやチームマネジメントについて話すことが多い気がします。

その会話の中で感じた違和感や自分の中にある気持ちを整理したいのでメモがわりに、この記事を書いています。 なので、言葉足らずだったり、表現が雑な部分があるので、そこは優しく見てもらえると。

個人的によく会うのが「研究したい」と言う人です。 そういった人は、私の感覚だと典型的には iGEM の学生サークル的な部分や、純粋な研究勝負ではない部分で悩んでいることが多いと思っています。 私は「大学にいるんだし、じゃあ研究室に行けばいいじゃん」と毎回思っているのですが、ほとんどの場合で「時間が取れない」「自分はまだそこまで能力がなくて...」という言葉が返ってきます。 この反応は、まぁ予想できるのですが違和感もあります。 純粋な疑問として、iGEM には入れるのに、研究室には行けないというのはどうしてなのか、というのがあります。 時間が取れないのも、根本は自分の能力不足が原因だと思っているが故のものだと思っています。 でも、iGEM には入っているわけで、そして、別に Grand Prize を取っているわけでもないし (能力ある = Grand Prize だと思っているわけではないですが例として)、プロジェクトを実際に現実にデプロイしているわけでもないので、その意味では「能力不足は iGEM でもそうでは」、という気持ちになります。 加えて、その「能力不足」という判断は他でもない自分自身がしているわけで、自分の能力を低く見積っているのに、その自分の価値判断だけは強く信じているというのは矛盾しているように感じました。こういう話を聞いていると自分のことを賢いと思っているのか、思っていないのか、分からなくなる時があります。 これは邪推というか、私の妄想なのですが、研究とか研究室とかの権威性を信じることで、自分の中で持ち上げることで、自分が立脚している価値観とか社会的なステータスを守ろうとしているのかなと思っています。

iGEM で学べることは間違いなくあると思っています。 でも、それが本当に iGEM を通して得たいと思っていたものなのかは繰り返し考えないといけないと思っています。 その経験は iGEM でしか得られないのか、iGEM で得るのが妥当なのか、といった問いです。

よくある?のが「iGEM を通してチームマネジメントに関する実践的な経験を得ました」みたいな話で、チームマネジメントとか別の何を iGEM を通して得られたのならそれは素晴しいことだと思っています。 でも、これは本当にその人が目指していたものだったのでしょうか。 ある意味でそれが「現実的な」落とし所なのかもしれませんが、それを成果として語るのは、私には傷つかないように予防線を張っているように見えてしまいます (私もそういうことをすることはありますし、私と話すときにプレッシャーというか気まずさからそういうことを言っているのもあると思いますが)。

ちなみに、私は、毎年、同じような課題を踏んで、同じような結果を出していることを悪いことだと思っていなくて、教育コンテンツとして価値のあるものだと思っています。教育コンテンツとして見るなら、気になるのは「予後」なわけで、iGEM が終わった後に悲観的になったり、非建設的なことに拘ることがないようになるといいなと思っています。 雑にまとめると、私はもっと素直に目標を持ってほしいということです。もちろん、始めてみてから気付けることはたくさんありますし、ほとんどがそうだと思いますが、その新しい目標がどんどん縮んでいくのは悲しいなと感じています。

iGEM 以外でも得られる経験や能力というのは、他を経験した人からしか伝えられないと思っています。なので、ex-iGEMer は iGEMer や iGEMer になりたい人に積極的に発信するべきだと思っています。これは自戒を込めて書いています。 例えば Python を勉強するコミュニティがあったとしても、私は作りたいものに応じて Python 以外の言語を提案するのが良いコミュニティだと思いますし、その提案をするためには Python 以外も書ける人を巻き込むしかないと思っています。iGEM も同じで、iGEM 以外の選択肢を示せる人がコミュニティにいることが大事だと思っています。

今年の Advent Calendar は、月初に見たときに枠がけっこう空いていたので、各方面の ex-iGEMer の方々に記事をお願いしました。iGEM 以外での活躍の道や iGEM を "卒業" した後のキャリアなど、そういったことをもっと発信して、iGEM 以外をあまり知らない人が多い閉鎖的な iGEM Community にならないように、老害として茶々を入れていきたいと思っています。受けていただいた方々、本当にありがとうございます。

いつかの記事でも書いた気がしますが、私自身が人に背中を押してもらって、様々なことに一歩を踏み出せた人なので Community への思いはあります。 (行動で見せろよと言われると苦しいものがありますが...)

最後に私なりのまとめですが、iGEM に不満があって、自分が学びたいこととその不満を解決することが一致しないときは、ささっと iGEM を辞めて自分が本当にやりたいことをやった方がいいと考えています。 いつまでも解決できない課題だったり、ほんとうにやりたいこととは違う課題に貴重な大学時代の時間を捧げて取り組んで、楽しいことあるのかな、と思います。 iGEM で学べることはありますが、それを得るための方法として iGEM が最適かどうかは批判的に考えるべきだと思いますし、合わないなら辞めていいと思います。 幸いなことに過去 20 年以上、iGEM は毎年開催されていますし、今後もしばらくはされるでしょう。参加しようと思えば参加できます。また戻ってきたいと思えばいつでも戻ってこれます。 面白いことに、iGEM を辞めて研究室に所属して 1-2 年した人に「また iGEM やらないの?」と聞くと「時間がなくて...」とか「今の自分には...」など、いつかの自分が言っていたような言葉で iGEM から距離を取ります。

これは誰かへのメッセージというよりは、自分の気持ちの整理です。人には人の iGEM への思いがあると思いますし、私の考えが正しいとは思っていません。ただ、こういうことを考えている人もいるということを残しておきたかったので書きました。 ただ、iGEM の内側ばかり見るのではなく、たまには散歩に行きませんか。